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過払い&債務整理ブログ-5

裁判官も人それぞれと書いたことがありますが、ある日の福岡簡易裁判所での裁判官は「判決は書きたくない」裁判官のようでした。

私見ですが、大方の裁判官は互いの譲歩による和解を勧めてくることが多く、1回目の期日で「判決を」とでも言おうものなら、「とにかく一度和解交渉をしてください」と当然のように発言されます。

さっさと判決を書いてくれる裁判官は少数派ではないかと感じます。

判決を書くにはそれなりに法的な論点整理が必要で、その後類似の案件では「こういった判決文がある」として原告・被告双方に使用されることもある訳ですから。

ある日の裁判官「折角、被告も出てきてありますので、和解の話は進められないでしょうか?」と原告代理人に何度も促します。けれど、被告からの和解提案額は依然として低い様子。

原告代理人「元金からの端数カットくらいなら応じますが・・」と言うが、被告側の代理人(貸金業者側の社員が簡裁で代理人許可をもらっていることがほとんど)は「それではとても」と言うので、とうとう結審になりました。

裁判官「それでは、○月○日に判決を言い渡しますが、その前でも和解が可能なら、和解を考えてください」と言う。

今まで、無理だったから判決になったのにと思いますが・・。

エイワの裁判では、準備書面、陳述書、新たな証拠書類を提出していましたが、直前になりエイワから、さらなる答弁書が届いていました。

また、期日がはいるのではないかと考えていましたが、裁判官「裁判所の側で判断を下しますから、結審していいですか」との事で、判決が下されることになりました。

1判決を書くのを厭わない、消費者よりの裁判官で良かったと思った1日でした。

以前は福岡でもマイカルカードとして、旧ニチイ(スーパー)の時代からショッピングとともに便利なキャッシングとして使用されていた方もいるのではないでしょうか?

現在、大阪市に本社を置く会社であり、過払い金返還請求については任意の和解交渉では満足のいく回答を得られませんが、訴訟になると返還金額への対応は比較的よく、過払い金元金満額プラス利息込みでの決定を得ることも可能です。

問題は返還時期が遅いこと。「返還原資がないので10ケ月後にお願いします」と相変わらずの対応です。

「それじゃ、余りに遅すぎますよ。判決を取りますから」と言うと、「支払日までの利息も加えた金額でいいので、お願いします。」と担当社員からの対応です。

先日、Aさんの過払金は無事入金となり、「大丈夫なんでしょうか?」と心配されていたAさんも安堵されましたが、経営状況も厳しくなっているようで、今後どう対処していくべきか、検討課題です。

数ヶ月前依頼を受けた、Iさんの自己破産申立を福岡地方裁判所にしてきました。

数年前、他県で個人再生の認可決定を受けたものの事情により返済が滞ってしまったIさんですが、問題は何年も経過していると、当時の貸金業者の中には破綻している業者があること。

貸金業者の破綻後であっても、連絡がつくこともあるのですが、今回のケースでは、かなり年数が経過していることもあり、所管の財務局や県の金融課に確認をとっても廃業日解散登記などはわかったものの、廃業時の所在(本店)しか確認できませんでした。

福岡でも中小の貸金業者の廃業は多く、なかには回収業務だけ継続している業者もありますが、個人再生や任意整理などの債務整理手続のあと、返済を断念して自己破産を選択される方の場合には、今回のようなケースも今後増えてくるのだろうと考えられます。

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事務所のある糟屋郡粕屋町には、賀与丁公園という名前の公園があり、大きな池の周りに木々や草花が植えられています。
このごろは、桜の名所としても知られてきたようで、4月初旬の土日は、車が大渋滞でしたが、今は新緑の時期になっています。

法廷への出廷のため、福岡の裁判所へ行っても、木々の緑が目に飛び込んできます。
まだ、そう暑くはないので、このままの気温が続けば、電気代値上げや猛暑の節電も気にしなくてすむのにと思ったりします。

ところで、先日の裁判は、エイワでした。
この裁判は、以前、過払金返還の依頼を受けたIさんからの紹介で来所されたFさんからの依頼によります。

エイワからの和解提案は、過払い元金の3割。
「何とか和解でお願いできないでしょうか?」と何度も、担当者から電話があります。
「和解の提案額はいくらなんですか?」と聞いてみるが、以前と同じ額で話にならない。

エイワの貸し付けは、限度額内で自由に借りたり、返したりできるリボルビング契約ではなく、1回毎に金銭消費貸借契約を締結しています。

エイワの答弁書では、「計○○回の金銭消費貸借契約を締結したが、継続的な包括契約を締結していない。よって、計算は各契約ごとに個別で行われる」とあります。
個別の取引だとすると、過払金は半分程度になってしまいます。

でもFさんのお話では数回返済すると、「枠があいたから、残高も減りました。また貸せますよ。いくら必要ですか」とエイワの社員から、勧誘があり、Fさんは切り替え契約を長年にわたり、繰り返してきました。

したがって、1個の連続した金銭消費貸借取引であるとの主張をしていくつもりですが、陳述書や準備書面を提出する時、やはり証拠書面はあった方がいい。争点のある訴訟の場合は特にそうです。

「もう、全部捨ててしまいました」と言っていたFさんですが、このごろ、「探してみたら、1枚だけ借用証書が見つかりました」との事。

これで、エイワの「求釈明を求める」との主張に早めに対応できそうです。

過払い金返還請求を依頼されていたTさん、福岡簡裁へ提訴していた案件も終わり、清算のため来所されたのですが、「ちょっと相談があるんですけど・・・」とおっしゃいます。

Tさんは完済した消費者金融2社の他に、まだ返済中の貸金業者があり、「事故情報にはなりたくない」というTさんのため、「取引履歴をご自分で取り寄せられれば引き直し計算は事務所でしますよ。過払いなのか、いくら残債があるのかわかって、返済の見通しがたちますが・・。」というお話をしていました。

Tさんは「まだ、取引履歴は取り寄せていないんですけど、KCカードから電話があったんですよ。借り換えしませんか?って、言うんです。借り換えした方が金利が下がりますよ。○○銀行なら紹介できますという話なんですけど、どう思いますか?○○銀行なんて聞いたことないし、不安で・・」と聞かれます。

Tさんには、取引履歴開示請求だけでは、事故情報にはならないので、とにかく履歴をとってみることを含め、いくつかのアドバイスをしましたが、KCカードと同様にJトラスト系のロプロとなった旧武富士も債権回収にかなり動いているようです。

福岡簡裁の法廷前掲示板を見ても、貸金請求案件は多いのですが、ロプロ(社員は電話口で武富士改めロプロですと名乗ります)からも返済が滞っていると、訴訟を起こされているようです。

通常、何とか分割払いなら払えるという方には、裁判所からの勧試もあり、和解が成立する事も多いのですが、通常は3年、36回程度までの支払いで和解が成立するのに比べ、ロプロの和解基準は会社方針として6回まで、特例としても12回までしか認めないとの話も聞きます。

和解の場合には、和解日までの損害金しか取れないからというのが理由のようですが・・。

M&Aされた消費者金融が、過払い金返還はいろんな手段でかなぐり捨て、回収については、債務者の窮状もかまわず、回収に躍起となっている。そんな構図が見えてきそうです。

旧 武富士が国を提訴、法人税2374億円還付求める
(2012.4.11)

日本経済新聞によると2010年秋に経営破綻した消費者金融大手の旧武富士(現・更生会社TFK)は、4月10日、国に対し過去に納めた法人税の還付を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。

請求金額は、2374億円。
消費者金融業界は、かつて利息制限法の上限金利(15〜20%)を超える利息で営業し多額の収益を上げて納税していた。この超過利息が無効となったことから、返還を求める。

旧武富士は現在、会社更生計画に従って、債権者への弁済(主に過払金)など更正計画を進めている。

法人税の還付を受けた場合は、弁済原資に充てる計画だ。業界大手が超過利息関連で税還付を求める訴訟を起こしたのは初めて。

消費者金融は出資法の上限金利と利息制限法の上限金利に挟まれた「グレーゾーン金利」を中心に営業してきた。しかし、2006年にグレーゾーン金利が違法と認定され、利用者が払いすぎた利息(過払い金)の返還を求める請求が急増。

武富士など大手各社の業績は軒並み悪化し、武富士は破綻に追い込まれた。

過払金返還訴訟-対応は裁判官でも人それぞれです
(2012.4.10)

過払金返還を貸金業者に請求しても、和解では低い金額での妥結しか見込めない会社が多く、結局福岡の裁判所に訴訟を提起するケースがほとんどなのですが、この訴訟に対応する裁判官の対応は人によって随分違います。

法律上、過払い状態となっており、請求権が発生していれば、当然返してもらえるはずだと一般の人は思われるでしょうが、現実は随分違うのです。

裁判官によっても、消費者金融等の貸金業者よりの方、一個人である消費者よりの裁判官と分かれているようで、さらに、さっさと判決を書いてくれる裁判官、「判決を書きたくない?から」と「とにかく和解交渉を進めてください」と強硬に主張する裁判官もいます。

不思議なことに途中完済、債権譲渡など争点があり、業者側が過払金は時効によって存在しない、あるいは過払金債務を負担しないと主張するケースでは、必ず判断しなければならないので、判決となるケースも多いのですが、一連で取引されており、何の問題もないケースなのに当然のように和解を勧められるので、本人訴訟だと特に「和解しなければならないんだろうか」と原告ご本人は思われるようです。

その他、福岡簡易裁判所では訴訟との同時並行型調停という手続きも行われています。

これは、訴訟手続きを中止することなく、調停手続を実施するというものですが、満額回収を目指すという点では、なかなかこちらが思ったようには運ばないので、現在は「付調停にはしません」と福岡簡裁には答えて訴訟だけで行っています。

裁判官も貸金業者も年度が変わり、過払金への対応はどう変わっていくのか、注意していきたいところです。

過ぎてみると早いもので、あっという間に3月が終わり、新年度となってしまいました。

福岡の裁判所も人事異動で担当書記官が変更になったり、過払いになっている不当利得返還請求事件の裁判官交代があったりします。

個人再生が進行中のSさんの再生計画案を福岡地裁に週末提出しましたが、「年度末なので、きょう処理したいので、残りの書類を全部持ってきてもらいたい」との事。

書記官(裁判所の裁判事務を処理する)も転勤かも知れません。

もうちょっと早く提出したかったのですが、債権者の中に武富士があり、会社分割・事業譲渡・支店設置の関係で登記の証明がなかなかとれませんでした。

法務局の粕屋出張所でやっと取得し、再生計画案と一緒に提出しましたが、旧武富士の事業は全部ロプロに承継され、武富士(現TFK株式会社)には、更生債権の過払い債権だけが残ったという訳です。

ロプロの登記には「株式会社武富士の債務については責に任じない」と記載され、過払い金について免責登記がされています。

まだ負債が残っていて返済するかたの「おいしい部分」だけが譲渡され、旧武富士は裁判手続の終結を待つだけといったところでしょうか。

ところで、ロプロもJトラスト・ネオライングループであり、昨年傘下に下った福岡本社のKCカード(旧楽天KC)も同じ系列です。

先日、Kさんの過払い金返還訴訟は、福岡簡易裁判所から判決が出ましたが、結審後も「和解したいんですが・・・」とKCからは電話がかかってきていました。

「もう、判決が出ますから」と断ると、その後FAXが・・・。

依頼者ご本人の口座に送金日までの利息を含め、全額過払金を送金しましたとの連絡です。

かつて、ネオラインキャピタルも同様の対応を取っていましたが、判決を取っても「払えない」と言うようになってきました。

KCカードもそうならないよう、願うばかりです。

福岡の法テラスへの申請で、自己破産の手続(2012.3.29)

5社以上に借り入れがあるいわゆる多重債務者の方は230万人超から、平成23年4月には70万人を下回ったと言われており、自己破産の申立をする方も数年前から、かなり減少傾向にあります。

それでも、自己破産せざるを得ない方、日々返済に苦しみ債務整理しなければいけない方はまだまだいらっしゃるようです。

先日、自己破産の相談に見えたMさんもそういう方のひとりです。

聞けば、かなり以前から手続きについて、考えていらっしゃったようですが「費用がなくて・・」とぽつりとつぶやかれます。

数年前、リストラになり、失業保険や貯金を切り崩して生活してきたが、生活費がなくなり、何枚か持っていたカードでお金を借り、ここまで生活してきて、もう限界にきてしまったということでした。

「手続きは法律扶助の制度もありますから、どうにかできますが、これからの生活は?」と聞くと、銀行に数千円の預金があるだけと話されるので、収入を得るようになるまでの間、生活保護制度の利用も考えてくださいねとお話し、相談窓口などの説明をしました。

どうしても相談に行けない方、窓口での対応に不安がある方には付き添っていく事もありますが、Mさんはご自分で相談に行かれ、申請を受理してもらえたようです。

自己破産を含む債務整理の法的手続きでは、国が設立した日本支援センター(愛称法テラス)というものがあり、福岡にも地方事務所があります。

法テラスではMさんのように、収入が少ない方のための無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えを行っており、一般的な弁護士・司法書士費用より非常に低い金額で少額からの返済(償還)で済み、法的手続きをすることができます。

さらに、生活保護世帯の方については、償還が最終的には免除つまり、手続きの費用負担がないというメリットがあります。

つぼみがほころび始めたさくらの花のように、Mさんにも落ち着いた人生が早く訪れるよう、手続きを速やかに勧めたいと考えています。

この冬は、去年より寒さが厳しく,節電の影響もあってエアコンは控えめに、こたつやホットカーペットを使う方も多かったようですが、やっと春のきざしが感じられるようになりました。

債務整理や過払い金請求をされる方にとっても、良い春を迎えられればと思います。

ところで、三洋信販(ポケットバンク−現プロミス)やアコム・アイフルなど、大手消費者金融と違い、数は少ないのですが福岡の地元クレジット会社へも過払金の返還請求をすることがあります。

福岡市博多区の九州カード、久留米市のモデルカード、北九州市の井筒屋ウィズカード、福岡市中央区のシティックスカードといったところでしょうか。

消費者金融の場合、訴訟にしなければ満額あるいは満額に近い過払いの回収は困難なのですが、これらのクレジット会社は比較的和解交渉でも返還率が高い傾向にあるようです。

そのなかで、九州カードは、西日本シテイ銀行のカード部門の主な保証会社でもあり、銀行の通帳にカードローンをセットされている方もあるかも知れませんが、カードローン・アレコレカード以外にもビザ・UFJ・JCBなど古くからの色々なカードがあります。

カードローンの金利は、法定金利なのですが、キャッシングにはCS・CLの区別がありひとつは数年前まで法定金利を超えた金利でしたので、取引の長い方の中には、過払金が発生するケースがあります。

そういえば福岡銀行にも以前過払金返還請求をしたことがありました。
ずいぶん前の「ふくぎんカード?」では金利が高い時代もあったようです。

いずれにしてもこの仕事を長くしていると、時代の流れを感じることが多いこのごろです。

そういえば、KCカード相手の過払い金返還請求の訴訟。

「和解したいんですが・・」と3回目の提案があり、今度は過払い元金の33%。小出しに少しずつ和解金額を切り上げ、迫ってきます。

「とても和解できるような金額ではないので」と断りましたが、口頭弁論期日の前日の夕方になって、準備書面が送信されてきました。

前回の期日から今回の期日までは1ヶ月近くあったのに、これなら反論する時間的余裕はないだろうとみて直前に送信しているのでしょうか。

貸金業法17条・18条書面の提出もできないのに、「みなし弁済規定が適用されると認識していた特段の事情がある」という記載は、結構どの貸金業者も主張しますが、昭和33年最高裁判決を持ち出して「貸し付け初日の利息を算入していない」の主張は苦し紛れかも知れません。

送付されてきたKCカードの取引履歴は初日不算入なのですから。
一応急いで準備書面を作成し送信しましたが、あの手、この手で粘ってくるKCカード。

きのう、結審して福岡簡易裁判所での判決が出る予定です。

過払い金返還請求-「1社しか借りていない方」も
増えています(2012.3.6)

改正貸金業法が完全施行されてから、1年半経過しました。

消費者法ニュースによると、2006年5月、自民党の小委員会に5社以上の借り入れを有するいわゆる多重債務者の方は230万人超と報告されていましたが、2011年4月には70万人を下回ったとのことです。

確実に多重債務者が減少している一方、1社だけから借り入れがある方は、逆に増加しているとの情報もあります。

この福岡でも、数社から借り入れがある方は、総量規制等の影響により返済が苦しくなって、すでに任意整理や過払い請求、なかには法的手続きである自己破産・個人再生をされた方も多いと思われます。

しかし、1社しか借り入れがなく、どうにか収入の範囲内で返していける方の中には「長年返しているのに残高が減らない。いつまで返済が続くのだろう。何とかしないと・・」と思いながら、一歩踏み出せずにためらっている方も多いようです。

このごろ、当司法書士事務所にも「A社にだけ借り入れがあって、10年近く支払っているのに、一向に減っていかないんです。」「B社としか取引したことはないけど、このごろ電話がかかってきました。金利を下げますよと言われていますが・・」などの問い合わせをいただいています。

どなたも「長い間借りているのだから、過払いかもしれないけど」と思いながらも返済を続けてこられたようです。

一昨年の冬ごろから過払い金請求の依頼をされた方の中には、武富士破綻(3月1日、ロプロが事業を承継、武富士→TFK株式会社に商号変更)により、初めて過払いの状態であったことを知り、「他社の分ももしかして・・?」と思い、行動を起こした人もいました。

貸金業者が破綻する前に、あるいは回収困難な業者になる前に考えた方が良いかも知れません。

福岡市に本社があったため、福岡県内で三洋信販と取引されていた方はかなり多いのではないかと思います。

平成22年10月、三洋信販は親会社のプロミスに吸収合併されましたので、過払い金返還請求の相手はプロミスということになります。

過払い金返還請求のパターンとしては,

  1. すでに三洋信販の時代に完済された方。
  2. 三洋信販からプロミスに契約が引き継がれ、プロミスに返済中の方で引き直し計算をすると、過払い金が発生する方。
  3. プロミスへの移行後、完済された方となります。

また、もともとプロミスとも取引があった方も多いので、そういう方は三洋信販分の過払いとプロミスへの過払いを併存して過払い金返還請求をするということになります。

この別個の取引があった場合には、どちらかに債務が残った場合、相殺つまり差し引きすることも可能です。

ところで、取引履歴の記載方法は各貸金業者によってまちまちですが、三洋信販とプロミスにも違いがあります。

プロミスの場合、契約年月日の記載があり、取引中途で完済した場合であっても再度借り入れする時に契約の記載がなければ、分断ではなく一連取引だと主張できます。(一連取引の方が過払い金が多くなります)。

しかし、三洋信販のばあいには契約年月日の記載がなく(残高表示もない)、中途完済があった場合の判断がしづらい傾向があります。

ケースバイケースで判断していくことになりますが、こういう場合にご本人が取引明細や契約書の控えなどを持ってあれば、証拠として採用されることも多く、有利に過払い請求を進めることが可能といえます(もちろん、なくても対処方法はいろいろありますが・・)

過払い金返還請求をする場合には、和解交渉ですとプロミスの対応は遅く、交渉そのものを数ヶ月後と指定される事が多く、また返還割合も低いので、訴訟での対応がベストといえます。

  1. ご存じの方も多いと思いますが、完済後の過払い金返還請求の場合、以前は「契約見直し」として信用情報に登録されていましたが、平成22年4月19日にこのコード番号は廃止されました。

    したがって、完済後に過払い金返還請求される場合は、信用情報に記載されることは一切ないので、安心して手続きを進めることができます。
     
  2. (1)それとは異なり、まだ返済を継続中だけれど高い金利で長年支払いを続けてきて「過払いかも知れない」という方の場合、ご本人の債務整理におけるスタンスにより、最初の取り組み方が変わってきます。

    (2)まず、司法書士事務所または弁護士事務所で依頼をした場合、「受任通知」が取引先の貸金業者に送付されますが、この時点で信用情報記録の異動欄に一旦「延滞」あるいは「債務整理」等と記載されることになるようです。

    (3)法定金利による引き直し計算の結果、「払いすぎ」つまり「過払い」となっていた場合は、相手方金融会社へ請求後の和解または訴訟による決着後、異動欄の情報は抹消されることになります。

    (4)引き直し計算をしても債務が残る場合には、延滞情報等は抹消されず5年〜7年程度カードを使ったり、融資の申し込みが通らなくなるなどの可能性が高いといえるでしょう。

    (5)この場合であっても、高金利の期間が長い方は債務額が相当減っている訳ですから、返済は随分楽になるといえます。

福岡過払い相談WEB運営の当司法書士事務所では、依頼するしないにかかわらず、債務あるいは過払い金返還請求にまつわるご相談を受けております。

ブラックリストって?(2012.2.13)

よくみなさんが気にされることのひとつに「ブラックリスト」というものがあります。

でも、正確には「ブラックリスト」というリストが、実際に存在するわけではありません。

信用情報機関は、株式会社シー・アイ・シー(CIC)株式会社日本信用情報機構(JICC)全国銀行個人信用情報情報センター(JICC)があり、ほぼ全ての信用情報が網羅されていると言われています。

普通に取引されている方も取引の内容は信用情報に登録されているのですが、延滞情報や債務整理と記載されている方の場合は、事故情報扱いとなって融資にあたり新規の申し込みや追加融資などが行われない可能性が高いということになります。

また、自己破産や個人再生の手続きをされた方は、官報という政府刊行物に住所と氏名が記載されますので、ほぼ確実な事故情報となります。

全ての取引業者が過払いだったという場合は影響ないのですが、10数年、福岡で債務整理業務に携わっていますと、「○○ですけど、もう手続きが終わって数年たつんですが、子供の学資ローン組みたいんですが・・・」「生活も安定してきたし、住宅ローンは申し込めますか?」というお問い合わせをいただくことがあります。

融資担当者ではない司法書士としては、法律問題ではない融資情報に正確に答えることはできませんが、自分の情報がどうなっているのか知りたいという場合には、上記3つの信用情報機関に信用情報開示請求をすると良いかも知れません。

何も記載されていなければ、「事故情報ではない」ということになり、融資の審査に通る見込みは高くなるといえますが、くれぐれも計画的な借り入れと返済を心がけてもらえればと思います。

武富士からの過払い金弁済が始まっています(2012.2.6)

会社更生法による更正計画案に基づき、武富士からの過払い金の弁済が1月から始まっているようです。

23年12月28日、スポンサーがJトラストになったと発表されましたが、1月になって当司法書士事務所の依頼者の方からも「弁済はいつになるんでしょうか?」「過払い金が戻ってきているって、ネットでみましたけど」という問い合わせが来ています。

1月中旬から3月までの間の予定で振り込みが行われるようです。

弁済率3.3%という、法律上返還されるべき金額のごくわずかとなってしまった訳ですが、それでもここ福岡でも待っていらっしゃる方は多いはず。

早く返還されるといいのですが・・・。

それにしても、楽天グループから切り離されたKCカードといい、今回の武富士といい、Jトラストがスポンサーとなっています。

回収は徹底的に行い、過払い金はひらたく言えば徹底的に値切る・・ネオライングループ色に染まった貸金業者が増加傾向にあります。

Jトラストの子会社となって以降、強硬姿勢になっているKCカード。

以前の楽天KCの時は、最終取引日での法定金利引き直し残でOK、それ以降の利息・損害金のカットにも応じ、5年を超える分割返済にも応じていました。

ところが、会社分割後のKCカードはまったく応じようとしません。

電話でも、以前の楽天KC社員の穏和な口調での話しぶりと打って変わり、話し方そのものがちょっとコワモテのような口調の話し方!!(もちろん口調だけのことですが・・)

23年8月に入ってすぐ任意整理のご依頼を受けていたHさんの場合、引き直し計算後も数十万円の負債が残ってしまいました。

それでも、今までの請求書残高と比較すると40万円近く減っていたのですが、将来利息カットでの分割和解には応じないだろうと思われるので、Hさんに伝えたところ親族が資金は用意してくださるとの事、和解して無事終わりました。

このような会社の場合、どう対応するのかこれから難しい判断となります。

依頼者側からの和解案にはまったく応じない姿勢を見せている債権者に対して、対応を誤った場合にはご本人に非常に負担になる結果を招くこともあり、苦慮します。

相手方が貸金返還請求訴訟を起こしてきた場合に、代理人として分割和解・利息なしで和解できれば一番いいのでしょうが、相手方会社にも方針がありますので、判決が出てしまうケースも考えられます。

怖いのは判決後、勤務先に給与の差し押さえがされる可能性もある(高い)ということです(破産法改正以前の中小貸金業者は、延滞が続くと法的手続により、回収を図ろうとしていました)。

取引の期間が長く、以前は20数%の金利が続いていたといった方は、ご自分で取引履歴の開示請求をひとまずやってみたうえで、債務整理を検討する事も一考です。

業者によっては、法定金利での引き直し計算をして送付してくるケースもありますし、引き直し計算をしていない場合は、取引履歴から引き直し計算をしてみれば残債がどのくらいあるのか、あるいは過払い(払いすぎ)の状態になっているのかがわかります。

当司法書士事務所では、福岡県にお住まいの方で「取引履歴を取ったが、法定利息での引き直し計算ができない」と言われる方については、計算もしております(引き直し計算は無料です)。

本社が福岡市博多区にあるKCカード。

以前からカードを使われていた方は、国内信販から楽天のグループ会社となって、楽天KCカードとして使用されていた方も多いと思います。

楽天KCが会社分割を行ったことにより、楽天カードとKCカードに事業分割された訳ですが、当司法書士事務所でご依頼を受けた方は、KCカードばかりでした。

過払い金返還をされる方によっても任意整理をされる方にとっても、問題は楽天KCの株式がネオライングループの中核企業Jトラストに譲渡されたことです。

任意での交渉で過払い金が多く返還されることはほとんど期待できないので、Aさんの過払いでは訴訟を提起していました。

第1回目の口頭弁論期日の前の日、電話がかかってきました。

「Aさんの訴訟になっている件ですが、和解の提案なんですけど○○円でどうでしょうか?」なんと、訴額の15%の提案です。

「それでは低すぎます」と断り、2回目の期日が予定されているところですが、また和解の打診がありました。今度は22%。

判決を取るしかないのですが、以前ネオラインキャピタルは判決後も延々と減額交渉を続けてきました。その後、本人あてに為替を送りつけたりと・・・。

Jトラストの子会社となり、ネオライン色に染まったらしいKC。今後はどういう対応をとってくるつもりなのか考えさせられます。

事業再生ADRを行っているアイフルグループの会社です。

平成23年7月1日、株式会社ライフが会社分割したことにより、アイフル(ライフは消滅)とライフカードに分かれたことになります。

グループ再編で、消費者金融事業を「アイフル」ブランドに、信販・クレジットカード事業を「ライフ」ブランドに統合したということのようです。

それまでライフのカードを使ってショッピングやキャッシングをされていた方は、カードの種類により取引の相手方が異なることになりました。

分割後、ライフに残ったカードは、ライフがアイフルに吸収合併されたため、過払い金が発生する方はアイフルが相手方となります(アイフルの中のライフ部署が担当しています)。

ショッピング部門は、ライフカードへ会社分割し、キャッシング部門はアイフルが吸収合併ということですが、過払い金についてはカードの種類によりどちらを相手にするか異なるようです。

当司法書士事務所の依頼者でもカードの種類により、過払い金返還請求の相手方は異なり、Aさんはライフマスターカードを使っていたのでライフカード、Bさん、Cさんはプレイカードを使っていたのでアイフルとなりました。

いずれにしても、アイフルグループの会社は窮状を訴え、延々と会社の状況を説明して何とか過払い金返還の金額を押さえ込もうと必死です。

新規設立のライフカードについても例外ではないようです。

訴訟での対応となりましたが、この先どういう展開になるかといったところです。

新年になり、裁判所も本格的に稼働中(2012.1.10)

新年になり、裁判所も本格的に稼働しているようです。

福岡地方裁判所のお堀には夏になると蓮の花が咲きますが、今は枯れてしまった枝や葉も全て撤収され、(業者さんが船に乗って回収作業しています)冷たくどんよりと静かです。

6日には訴訟の準備書面提出、きょうは、過払い金返還請求の訴状提出と個人再生の再生計画案を提出してきました。

再生計画案では、具体的にどの債権者(会社)に3〜5年間で毎月いくら払うかなどの返済計画・きちんと試験積み立てがなされているかなどの中間報告書・住宅を手放さずに支払っていく方は、住宅資金についての具体的なスケジュールや概要などを取りまとめて裁判所に報告します。

個人再生の最大のポイントは、「返済できるかどうか」に、かかっています。

つまり、裁判用語で言う「履行可能性」にあります。

個人再生は、「開始決定」が出てからも、「債権届出期間」「一般異議申述期間」「再生債権評価申立」「再生計画案」、住宅ローン付きの場合は、住宅資金条項の策定など、詳細な手続が求められます。

手続は、全て申立司法書士事務所で行うので、依頼される方が頭を悩ませる必要はないのですが、個人再生では「自己破産」と異なり、負債の一部は返済しなければ、残りの債務を免除されません。

返済の期間は基本的には3年間、長い方の場合、5年間となりますが、個人再生での返済が始まってから、返せなくなった時には、自動的に「破産」になるのではなく、新たに「破産申立」をしなければならなくなります。

返済できる見通しが高ければ、「借金の理由も問わない」「免責不許可事由も基本的に影響しない」個人再生は、「借りたものは返さなければ」という社会通念にも一致し、最適の手段と言えます。

しかし、1年間頑張ったけど、どうしても払えなくなったという場合、それまでの1年間の返済は、無駄になってしまい、また、1から破産手続きをしなければならないので、十分に生活の見通しを建て、計画的にやっていく事が必要です。

裁判所もそのへんを、手続き中、書面を通して見ているのだと言えます。

当事務所でも、いったん受任してから、「破産」から「再生」あるいは、「再生」から「破産」へと方針変更することもあります(過払い金返還請求の結果、任意整理になることもあります)。

依頼者の方と十分話し合い、家計状況、収入状況等、考えながら方針を決定させていただいています。

来年は明るい前向きな年になるでしょうか?
(2011.12.29)

今年も残り少なくなってきました。

過払い金返還請求、任意整理、自己破産、個人民事再生と、平成23年も様々な事件を受任し、思いがけない多額の過払い金を手にした方・現在頑張って返済中の方・免責決定を受け、支払い義務もなくなり、気持に区切りがついた方といろんな方がいらっしゃいました。

この仕事をしていると、さまざまな職業、さまざまな人生と接する機会が多いとつくづく感じます。

ここ数年は世界も日本も激動の連続で、リーマンショックに始まり、ギリシャ問題、円高不況など先の見えない不安を感じる日々。なかでも東日本大震災とそれに続く大津波、原発事故はかつて想像しえなかった規模で多くの方を巻き込んでいきました。

金融業界、ことに消費者金融やクレジット会社も合併・民事再生・自己破産・会社分割と時代のうねりとともに大きく変わろうとしています。

会社更生計画中の武富士も支援企業が変更され、Jトラストになりそうだとの発表も出ています(グループ企業から過払い金を回収するのはかなり困難を極め、破産管財人すら取立困難として裁判所の許可を受けるケースもあるとも聞きます)。

でもどんな方にも今生きていくためには、「働いて収入を得る」仕事が一番必要です。

膨大な予算編成の日本が借金体質を回避でき、成長戦略から雇用が生まれる、元気な未来を描ける年に来年はなってほしいと願うばかりです。

武富士の会社更生、3.3%の弁済もされない可能性が
出てきました(2011.12.18)

会社更生手続中の消費者金融武富士は、更正計画が認可され弁済が行われる場合には各過払い債権者に一般更正債権弁済計画表に従い、第1回として3.3%の弁済をすると発表していました。

裁判所の更正計画認可を受けるため、過払い金返還請求権者である本人や代理人のもとにも社員が電話をかけまくり、更正計画案に同意するよう平成23年10月24日まで盛んに攻勢をかけていました。

しかし、ここにきて再生支援のスポンサーとなるはずだった韓国のA&Pフィナンシャルが違法金利により韓国当局から摘発され、武富士支援に回るはずだった買収資金の282億円が確保されていないことが明らかとなりました。(ちなみに韓国は違法でなくてもすごい高金利です!!)

武富士は予定していた会社分割も1ヶ月延長し、新たな支援先を探しているとも聞かれます。

「12月中旬から、3.3%の弁済が開始されますから、早く同意の投票用紙を送付してください」と社員に電話をかけさせていた武富士。

米投資ファンドと新たなスポンサー交渉をしているともささやかれるが、A&Pフィナンシャルの件以来、先行きの不透明さに全社員の8割が退職し、更正計画は暗礁に乗り上げる可能性も出てきました。

更正計画が予定どおり行われなければ、破産手続きをとる可能性もあり、その場合には1%台の弁済率になるとの話もあります。

多くの顧客に高金利で貸し付け、栄華を謳歌していた武富士ですが、いつも踏みつけになるのは一般消費者の個人でばかり。

利益を温存し、いまだ莫大な資産を保有する武富士一族への損害賠償請求訴訟が各地で提起されている。厳しい訴訟だと言われるが良い結果が出ることを願うばかりです。

借金相談、債務整理相談の内容も以前と変化してきつつあります
(2011.12.13)

過払い金返還請求後の任意整理や個人再生後の自己破産など、ご依頼の内容も変わってきつつあります。

以前は自己破産や個人再生、任意整理など債務整理の相談をお受けして依頼いただく場合も「今まで頑張って返済してきたけど、どうにもならない」「何とか支払いが少なくならないでしょうか?」「相当長い期間、取引してきたんです。」という方がほとんどでした。

でも、このごろ、受任させていただいたAさんは、他の事務所で住宅ローン付き個人再生を申立したが、様々な事情により返済がすべて滞り、自己破産の申立を決意されるに至った。

また、Bさんは他県の大手事務所に債務整理を依頼されたが、地場の小さい業者や残債が残る会社は敬遠されて、過払い金返還請求だけ依頼されたという。

Bさんは債務整理しなかった業者は払っていくつもりだったが、収入の減少により支払いが苦しくなり、任意整理を依頼された。

リーマンショック後の不況も乗り越えてきた方が、デフレ・円高による不況などで失業・転職を余儀なくされている。

一度、債務整理したあとでも、残った借金の解決の道はきっとあるはず!
あきらめないで、行動を起こすことが必要です。

長年、ご病気や生活費・住宅ローン返済などで借金を重ねているとご夫婦ともに多額の借金がある方も多い。

数ヶ月前、認可決定が出て現在返済中のNさん夫妻もその1組。

若いご夫婦だが、下の子供さんが赤ちゃんの頃から、頻繁に入院され、その費用や生活費のために、債務が増えたということだった。

子供さんも4歳になって健康になり、やっと落ち着いたため借金を何とかしなければと債務整理の相談にみえたのだった。

お二人とも債務があったので、最初は自己破産も検討していたのだが、共働きで安定した収入があること、返済できるなら何とか返したいとの希望で、再生手続を進めることになった。

個人再生の返済期間は、原則3年だが特別の事情がある場合は5年まで延長できる。
ひとり2万円、家計からは月に4万円程度なら、余裕を持って返済でき不意の出費にも対応できるとの事で、4年間の返済スケジュールで特別の事情が認められ、認可決定が出た。

また、Aさん夫妻の場合、住宅ローンを組んだ後からおふたりともガンなど重い病気に何度もかかり、子供さん達の学資の借り入れも重なって、債務が増加したとの事だった。

「住宅は手放したくない」とのお話で、ご主人は個人再生を選択された。奥様は、引き直し計算をすると、かなり負債が減ったけれど、任意整理で返済できる額ではない。

ご主人が、住宅ローンを払い、一般債権(住宅ローン以外の負債)を再生計画で返済するとしても、住宅ローン以外で1000万円の負債がある。

5分の1の返済なら、通常は200万円支払えばいいのだけれど、相続財産もあり、精算価値での返済となったため、住宅ローン以外に毎月、5万円近くの返済見込みとなった。(返済期間延長もしました)

奥様はちょっと涙ぐみながら、自己破産申立を決意された。

でも、お二人で方針決定してからは、対応がとても早く、てきぱきと書類を準備され、郵送や持参で、不足書類も全て揃い、スムーズに申立へと進んだ。

奥様は、破産決定も降り、もう少しで免責も出る。一安心されるだろう。
ご主人も再生手続開始決定が出て、手続が進行中です。

収入、家計状況、負債の額により選択される債務整理の手続は様々ですが、依頼した事務所だけで進行出来るものではない事も多い。

支払いや督促が止まり、安心されたのか、連絡さえつかなくなるような方がたまにいらっしゃいますが、しばらくストップできても債務をそのまま放置しておくことはできません。

協力的な依頼者の方は、事務所も対応しやすく、依頼者の方も早く本当の安心を得ることができるものです。

武富士の会社更生に陰りが・・(2011.11.2)

更正計画案では平成23年12月から過払い債権者に第1回弁済を開始すると発表していた武富士だが、会社分割予定が遅れ、延期となっていたところへ、さらに事業再開への暗雲がたれ込めてきた。

武富士は10月には更正計画案認可を取り付け、新会社の営業を再開する予定だった。

だが、スポンサーである韓国消費者金融大手の資金繰りがうまくいっておらず、武富士買収に要する金額が現在調達されていない。

武富士のスポンサーは、「A&Pファイナンシャル」。韓国消費者金融の大手であり、武富士のスポンサー選定において、280億円を提示し権利を取得した。

しかし、金額の大半は未払いであり、A&Pは払い込みが完了しない限り、武富士ブランドで貸し付け事業を開始できない。

A&Pが当局から法定金利を超えた高金利貸し付けをしていたとの指摘を受けていたとの報道もあり、資金繰りに影響もでている模様。

武富士事業再開には、今後不透明感が強くなり、大幅な修正の可能性も出てきたようです。

任意整理で過払いになり、もう支払わなくていいなんて?(2011.11.24)

長年、消費者金融から借り入れ、去年頃から貸し出しをストップされて必死で返済をされてきたHさん親子の場合、ご自分達が借りたのだから返さないといけないと思いこまれていた。

生活が苦しいのに、長年取引しているようだから、「もしかしたら、過払いになっているかも」と思った娘さんが嫌がるお母さんと、息子(弟)を引っ張ってこられた。

取引経過を聞いてみても「長いような気がするけど、いつごろからかわからない」と言われる。

おととし、社名変更したP社については、4年前の契約書を持ってこられたので、「これが最初の契約ですか?」と聞いてみるが、「この契約書が4年前なら、たぶん、そうなんでしょう。もっと、前からのように思ってきたけど・・・。」と要領を得ない。

「7,8年以上取引のある債権者もあるし、今のままではどうにもならないから、とにかく通知を出して引き直し計算をしましょう。」という話に納得され、依頼された。

各社から次々におふたりの履歴が送ってくる。
全て、過払いで、P社も8年前からであり、負債はなくなった。

ご家族が失業して、生活費が足りなかった時に、数十万円を借りたばっかりにその後長い間、苦労して返済されている。取引履歴をみると、大変さが伝わってくる。

債権譲渡を繰り返し、訴訟でも「債権譲渡の登記をしているのだから、全く別個の契約だ」などと主張する債権者も含まれているが、債権者の都合を許してはならない。

口頭弁論期日は何度も入るだろうが訴訟で決着するまで、気を緩めてはならないと思った1日だった。

数ケ月前、「自己破産の申し立てを頼みたいんですけどいいですか?」と気弱な顔で相談に見えたAさん。

聞けば、クレジット会社のローン支払いが滞って、会社に債権差押命令が届いたそうです。

他にも数社の負債があり、借金全部を合わせても、そんなに多額の借金にはならないのですが、毎月の給料と奥さんのパート収入でぎりぎりの家計なのに、やっていけなくなってしまいました。

クレジット会社や消費者金融もこのごろ、延滞があると訴訟を起こしてくるのが早くなりました。

普通、給料の差し押さえの場合、法定控除つまり、所得税や住民税、社会保険などを引いた残りの4分の1が差し押さえられるので、手取り20万円なら、ざっと4万円が差し引かれしまうんです。

Aさんには、私立高校に通学している子供さんがふたりもいらっしゃるので、授業料の支払金額が大きくて、ローンの方は、遅れてしまっていたとのお話でした。

すぐに受任させていただいて、早速、福岡地方裁判所へ自己破産申立をする準備に取りかかりましたが忙しいAさん。なかなか、書類が揃いません。

「早く自己破産申立しないと、中止できませんから、書類を用意してくださいね」と何度かお願いし、やっと、裁判所に申し立てすることができました。

その後福岡地裁からも、「早く破産手続開始開始決定を出してあげたいので、○○が補正なので、すぐ出してほしい」と連絡がありました。

補正手続きをすぐに行い、Aさんにその後開始決定の連絡がありました。

普通より早い福岡地裁の開始決定は、裁判官も事情をくみ取っていただいたのだと思います。

債権執行係に中止命令の申し立てを行い、Aさんは給料を全部受け取れるようになりました。

先日、免責決定もでましたので、取り消しの上申というものをすれば、もう債権差押は、取り消せることになります。

これで、やっとAさんも滞納していた光熱費などを払っていくことができるでしょう。

でも破産手続は2,3日でできるという程、簡単なものではありません。
こうなる前に、早めの決断が必要なようです。

Aさんからお電話で「過払い金の返還について相談したいんです。P社とP社に合併されたS社の分なんです。」とおっしゃるので事務所に来所のうえ、相談されることになった。

お話を伺うと「3年程前に完済したんですが、TVで武富士の報道を聞いてもあんまり、ピンときてなかったんです。そしたら、このごろ私が留守の時、電話がかかってきたらしいんです。家内が出たんですが、「借金を完済されていたら過払い金返還請求できますよ。手続きしませんか?」と言われたらしいんです。」と話される。

そういう電話がかかってきて、その人に頼むのは何となく気味が悪いからと事務所に相談に見えた方は他にもありました。

「ずっと、前から、長い間クレジットカード使われているでしょう?」「貴方ならきっと過払いになっていますよ」と、電話がかかってきたそうだ。

その時も最初、当事務所では事情がわからず、「だれから聞いたんですか?そこの事務所で依頼しなかったんですか?」と言うと、「何か知らない人から、電話がかかってきたんですよ。」「自分は、クレジットカードの取引履歴の情報を持っています。お宅は、随分長いので、過払い金を取り戻せますよ。」「手続きを依頼しませんか?」と勧誘されたそうだ。

物怖じしないSさんは、相手に「何で、私のカード内容知ってるんですか?」「お宅は一体、だれなんですか?」などと問いつめると、急に口ごもるようになってしまい、何だか怪しいと思ったので、依頼しなかったそうだ。

テレビなどで、過払いのCMを見ていても、自分には関係ないのだろうと思っていたSさん。
この電話で、きちんと相談してみようと思い、来所された。

今度依頼されたAさんも同様のケースのようです。

たまに噂で聞くのは、消費者金融等でリストラされた人が、顧客データを元に、債務整理・過払いなどを勧誘しているらしい?

真偽は定かではないけれど、そういうところは、かなり法外な報酬をとっているとも聞くことがあります。

過払い金は、金融会社が法定利息を超えた金利を不当に利得してきたお金を返還請求できるもの。
認定司法書士あるいは弁護士事務所で、面談により相談される事をお勧めします。

現在、前向きに生活されているNさん。

でも数ケ月前、「もう、借金返済できなくなったので、相談したいんですが」と電話をかけてこられた時には、暗い声だった。

1年数ケ月前、リストラで職を失い、退職金と失業保険の給付金で借金返済と住宅ローンの返済を続けてこられたが、1年間で退職金もなくなってしまい、失業給付も打ち切りになったそうだ。

「家は、手放したくない」と言われるNさんに債務整理手続きについて任意整理・個人再生・自己破産の詳細を説明する。

今の状況では、自己破産しか選択できそうにないけどと思うのだけれど、Nさんは「じゃあ再就職できれば、個人再生手続きで家を手放さなくていいんですね」と何とか再就職に思いを寄せられる。

ご本人の意思を全く無視する事もできないので、数ケ月お待ちすることにした。

しかし、その間も日払いの仕事があったり、なかったりと苦しい生活を続けていたようです。

面接までいっても、就職はなかなか決まらず、とうとう希望されていた債務整理手続きである個人再生を断念し、自己破産の申立をされることになりました。

でも、決断されてからというもの、書類もきちんと揃えられ、事務所との連絡もきちんとされました。

福岡地方裁判所に自己破産の申立をする前には、念願の就職もできたのですが、生活の目処はついたものの、やっぱり個人再生をするには、収入見込みが不足でした。

申し立て後、福岡地裁破産係から、「Nさん夫婦の破産決定が出ました」と比較的早く連絡がありました。

早速、Nさんご夫婦に書類をお送りしましたが、すぐに電話がありました。

「あのー、書類見ました。ありがとうございます。それで、あと、事務所にいくら、払わないといけないんでしょう?」

「この前、お話したように、法テラス福岡との決定書どおり奥様とふたりぶんの法律扶助申請分だけですよ。法律扶助の分は、2ケ月後から毎月○千円法テラスへの返済になりますから」

「それだけで、いいんですか?」とNさん。どうも、私の説明がへただったようです。

「わかりました。就職できたのでこれから仕事も頑張ります」と声も明るくなっていました。

Nさん夫婦の生活が早く落ち着かれることを願います。

大丈夫なようでも、結構、お金って必要なんです
(特に個人再生・任意整理では)

「今までどうにか支払ってきたんです。引き直し計算で、残高が減ったら十分に返済していけます。」

「月々の支払いが再生で○○分の1になるなら、大丈夫です。収入もありますから」
と個人再生や任意整理を希望される方は、みなさんよくおっしゃいます。

事実、9割の方は、延滞することもなく返済され、完済証明書や基本契約書が当事務所に送付されてきます。

ただ、なかには、返済と枠内での借金、クレジット会社のショッピング枠の増枠分で食料品や日用品などを購入されていたため、「今まで何とかなんてきたんだから、これからも何とか返せるだろう」と漠然と考えていらっしゃる方もあります。

司法書士が受任して、消費者金融やクレジット会社に通知を出すと、督促は止まりしばらく貸金業者に支払いをしなくてよいことになります。(自己破産の場合は、その後も)

なので、その間に家計表でどういう支出が必要なのか、じっくり検討してもらう必要があります。

1〜2ヶ月で、食費がこのくらい、光熱費がこのくらいと計算できても、結構、お金って予想以上に出ていくものなんです。

任意整理や個人再生を選択されるかたばかりではなく、やむなく福岡地裁に自己破産手続申立をされる方にとっても「不意の出費」のための備えは必要です。

「洗濯機が故障した」とか、「自動車の修理費用が必要になった」とか、いろいろ出てきますよね。
節電モードとはいえ、洗濯しないわけにもいかないし、寒くなる冬に「エアコンが突然きかなくなった」なんて困りますよね。

お金って結構、思いもしないところでかかってくるものなんです。

でも、過払い金返還請求以外の債務整理手続きをされた方は、今までのようにクレジットで何とかするのは困難になります。

ですから、当司法書士事務所では、「1万円でも2万円でも、無理ならたとえ1000円、2000円でも毎月貯金するようにしてください」とお話しています。

少しずつでも、貯まっていけば、ばかになりません。

将来の余裕ある生活のためにも不意の備えにも、「ちょっと我慢」の節約も大事かもしれません。

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